改訂新版 世界大百科事典 「朝鮮相撲」の意味・わかりやすい解説
朝鮮相撲 (ちょうせんずもう)
朝鮮に古くから伝わるシルムssirǔmのこと。競技者は腰から右ひざに日本の相撲のまわしに当たる布を巻き,互いに利き腕をかけて組み合ったまま競技を開始,左足で前身を支えながら倒し合う。日本の相撲のような土俵がないのが特徴で,両足の強靱さを競い合う点では蒙古相撲(モンゴル相撲)に似ている。高句麗の古都輯安(集安)にある角抵塚(かくていづか)古墳(鴨緑江対岸。現在の中国側)の壁画にシルムの原形が描かれており,中国の《後漢書》にも記述されているところから,起源2~7世紀の間とみられる。旧暦の5月5日に端午の節供を祝う行事として催されている。韓国では国民体育大会で実施されるなどして盛んになり,現在はプロ組織もできてシルム人気が高まっている。
執筆者:浅田 修司
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