…那須楮は茨城県北部の久慈郡大子町を中心とした久慈川流域で産出され,繊維は比較的細くて短く,繊細であるため,それを原料とした紙は温かみのある緻密(ちみつ)な紙肌となる。那須楮を使う紙は地元の西の内紙,程村紙(ほどむらがみ)のほか,越前奉書や本美濃紙(ほんみのし)などがある。本来,越前奉書は地元のコウゾや加賀楮,本美濃紙は津保草(つぼくさ)とよばれる地元のコウゾを使っていたものだが,現在は絶えてしまったので,よく似た性質の那須楮で代用している。…
…そのほか多くの紙を漉くが,総じていえば,コウゾの薄紙を漉くのに巧みである。現在,直紙の伝統をひく本美濃紙および在来書院,改良書院などの高級障子紙のほか,型紙原紙,表具用紙,書画用紙,箔合紙(はくあいし)(三椏紙(みつまたがみ)),謄写版原紙(雁皮紙(がんぴし)),美術紙などを漉く。1969年に重要無形文化財〈本美濃紙〉が指定され,その保持団体として本美濃紙保存会が認定されている。…
※「本美濃紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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