朝日日本歴史人物事典 「朴平意」の解説
朴平意
生年:永禄2(1559)
江戸初期の薩摩(鹿児島県)苗代川焼の陶工。文禄・慶長の役に際し朝鮮半島から渡来。朝鮮王朝(李朝)の陶工で,慶長3(1598)年,男女43名で串木野の島平に上陸(『苗代川文書留帳』)。翌年には薩摩焼最初の窯を半円筒形単室傾斜窯(蛇窯)という朝鮮半島の形式で築いている。8年冬,串木野から苗代川に移り,翌年,朴平意が庄屋となり,和名を清右衛門興用と名乗った。同じころ半円筒形単室傾斜窯の元屋敷窯を築く。19年,朴平意・貞用父子は,薩摩で初めて白陶土を発見し,それまでの朝鮮半島の雑器風の「黒もん」しかなかった苗代川で,薩摩焼の高級陶器「白もん」が作られるようになった。
(伊藤嘉章)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報