日本の城がわかる事典 「杉山城」の解説 すぎやまじょう【杉山城】 埼玉県比企郡嵐山(らんざん)町にあった中世の山城(やまじろ)。菅谷館跡(同町)、松山城跡(比企郡吉見町)、小倉城跡(同ときがわ町・嵐山町・小川町)とともに「比企城館跡群」として一括で国指定史跡となっている。台形の小高い丘の上に築かれた階梯式の小城である。築城年代、築城者は不明で、中世に、この一帯を領有していた豪族の金子主水の築城によるとの伝承(『新編武蔵国風土記稿』)はあるものの、その縄張りの形状などから、北条氏の時代の城郭であるとする見方が有力だった。しかし、発掘調査でかわらけ(中世の土器)や古瀬戸が多数出土して、一帯を山内上杉氏が治めていた時代に築城された可能性が高まり、注目されている。城跡は現在、山林になっているが、横堀や横矢、馬出し、土橋、土塁、虎口などが良好な状態で残っており、関東の中世の山城の特徴を残す縄張りがみてとれる。東武東上線武蔵嵐山駅から徒歩約40分。関越自動車道小川嵐山ICのすぐ近くに位置する。◇初雁城とも呼ばれる。 出典 講談社日本の城がわかる事典について 情報