杉沢台遺跡(読み)すぎさわだいいせき

日本歴史地名大系 「杉沢台遺跡」の解説

杉沢台遺跡
すぎさわだいいせき

[現在地名]能代市磐字杉沢台

縄文時代前期の遺跡で、昭和五六年(一九八一)に国史跡に指定された。竪穴住居跡は四四軒発見され、そのうち四軒が一五メートル−三一メートルの大型住居である。最大規模の竪穴住居跡は長軸が約三一メートル、短軸が八・八メートルの小判形で、約二二二平方メートルの面積を有する。床面には長軸線に沿って六ヵ所の地床炉が発見されている。このような大型竪穴住居は、一般的な住居ではなく共同作業所・集会所・祭祀場所などの用途が考えられている。また同地区で多数発見された貯蔵用の穴は、断面が理科実験器具のフラスコに類似することからフラスコ状土坑と名付けられ、その埋土からは、淡・海水性の多数の貝類や魚骨が出土している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「杉沢台遺跡」の解説

すぎさわだいいせき【杉沢台遺跡】


秋田県能代市磐(いわお)にある縄文時代前期の集落跡。東雲台地北側とその斜面の3万5000m2に分布している。1980年(昭和55)に発掘調査が行われ、竪穴(たてあな)住居跡44棟、食料を保存するフラスコ状土坑が109基発見され、1981年(昭和56)、国指定史跡となった。とくに小判形で長径が31mの日本最大級の超大型竪穴住居は通常の住居と異なり、何らかの役割をもっていたのではないかと考えられている。円筒下層式土器のほか、石錘石匙が多く出土している。また、平安時代の竪穴住居跡も5棟発見されている。JR五能線北能代駅から徒歩約30分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報