能代市(読み)ノシロシ

デジタル大辞泉 「能代市」の意味・読み・例文・類語

のしろ‐し【能代市】

能代

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日本歴史地名大系 「能代市」の解説

能代市
のしろし

面積:二四五・三二平方キロ

秋田県の西北部に位置し、周囲に山本郡の諸町村、北に峰浜村・藤里町、東に二ッ井町、南に山本町・八竜はちりゆう町があり、西は日本海に面する。市の中央を東西に米代川が流れ、日本海に注ぐ。

市の北部は東雲しののめ台地の北縁・西縁・南縁に集落が発達する。台地の北に位置する外荒巻そとあらまき比八田ひはた鳥形とりがた小土こづち栗山くりやま竹生たこうは山本郡峰浜村石川いしかわの山地から流れる竹生川の流域に開けた田地をもち、台地の南に位置する天内あまない常盤ときわさいかち久喜沢くきさわ朴瀬ほのきせ荷八田にはた真壁地まかべち吹越ふつこし向能代むかいのしろは米代川流域の沖積地に田地をもち、台地の西に位置する落合おちあい須田すだは東雲台地下部の沼沢地に水源を求めて田地を開いた。台地の西部は日本海から吹き込む風で飛砂の被害が大きく、海岸に造成される砂防林の恩恵を受けている。市の東部は常盤川が北から流れて米代川に注ぎ、常盤川の流域にかつての常盤村支郷が東雲台地を囲むように発達している。

市の南部は、米代川と出羽丘陵から延びた志戸橋野しとばしの台地に挟まれた地域で、能代平野の中心をなす。米代川流域の沖積地には鶴形つるがた機織はたおり鰄渕かいらげふち仁井田にいだ扇田おうぎだ大内田おおうちだ河戸川かわとがわ、志戸橋野台地の北縁には柏子所かしこどころ相染森そうぜんもりなどの集落があり、東部には母体もたいの山地から発する檜山ひやま川の流域に檜山・田床内たどこないがある。市の西部は志戸橋野台地の西縁にかつての浅内あさない村とその支郷が発達し、日本海岸の砂防林との間に田地を開いた。米代川河口には物資流通の拠点として能代港町が発達している。

能代の古名渟代ぬしろの初見は「日本書紀」斉明天皇四年四月で、「阿陪臣、率船師一百八十艘、伐蝦夷、齶田・渟代、二郡蝦夷、望怖乞降」などとある。次いで野代と記した初見は「続日本紀」宝亀二年(七七一)六月二七日条で、「渤海国使青綬大夫壱万福等三百廿五人、駕船十七隻、着出羽国賊地野代湊、於常陸国安置供給」とある。

さらに野代が能代に改められたのは元禄七年(一六九四)と宝永元年(一七〇四)の地震に機縁があり、「代邑聞見録」に、「元禄七年甲戌、宝永元年甲申両度大地震に、野代は野に代ると読字なる故度々大変ありと、諸人御改めを願ふ。然れとも、久敷湊にて諸国へ達しぬれは容易に御改難被成、稍御評議の上、野の字計り御改め宝永元年より能代と諸国へ通達す」とある。古代における渟代・野代はその地域を特定することは難しい。

〔原始〕

縄文時代の遺跡は米代川北岸の東雲台地の縁辺部に多く、台地北縁の竹生・鳥形・栗山の近くに前期から晩期の土器片が散在している。

能代市
のしろし

2006年3月21日:能代市と山本郡二ッ井町が合併
【二ッ井町】秋田県:山本郡
【能代市】秋田県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「能代市」の意味・わかりやすい解説

能代〔市〕
のしろ

秋田県北西部,米代川 (能代川) 中・下流域に位置し,日本海に臨む市。能代平野の中心都市。 1940年市制。 1942年扇淵村,1955年檜山町と鶴形村,浅内村,常盤村をそれぞれ編入。 2006年二ツ井町と合体。阿倍比羅夫が遠征のとき,この地を渟代 (ぬしろ) 郡と定め,安土桃山時代には米代川流域の物資の積出港として繁栄。江戸時代は松前 (北海道) ,北陸,山陰,大坂などとの交易が盛んであった。奥羽本線の開通とともに港の機能は衰微したが,米代川上流域は秋田杉の本場で,日本三大美林の一つ。その美林を開発する植林政策が促進されてから,製材,木工場が進出。また,扇田地区に工業団地が形成されている。海岸の砂丘地帯は果樹園,畑地に利用され,南部の檜山は江戸時代から茶畑があり,日本の茶生産地の北限。市街は 1949年,1956年の2度の大火により防災都市を形成。 1974年能代港が外国貿易港として開港,1981年に重要港湾に昇格した。さらに 1978年に1万 5000t岸壁,2001年に4万t岸壁がそれぞれ完成した。檜山安東氏城館跡,杉沢台遺跡はともに国の史跡に指定されている。東部の米代川と藤琴川合流地付近は,きみまち阪と呼ばれる景勝地きみまち阪県立自然公園に属する。市域中央を流れる米代川に沿って JR奥羽本線,国道7号線が通り,市内の芝童森 (しどうもり) で国道 101号線 (大間越街道) が分岐して北上。これに沿って東能代駅から五能線が走る。面積 426.95km2。人口 4万9968(2020)。

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