改訂新版 世界大百科事典 「ヤマトシジミ」の意味・わかりやすい解説
ヤマトシジミ
Pseudozizeeria maha
鱗翅目シジミチョウ科の昆虫。本州以南の日本でもっともふつうに見られる小型のシジミチョウである。開張2.4~3cm。雄は表面に青紫色の部分が広がり,外縁部は黒く縁取られる。この縁取りは早春や晩秋に見られるものではごく狭くなる。雌では青紫色部の輝きは弱く,周囲の暗褐色部がよく発達し,夏の個体では全面暗褐色となる。パキスタン南西部からインドシナ,中国南半部,台湾,朝鮮半島を経て日本にまで分布する。日本では本州の岩手県以南に分布し,南西諸島の与那国島に及ぶ。幼虫の食草はカタバミ科のカタバミで,この植物の見られる耕作地の周辺,路傍の草地,庭園などいたるところに見られ,人工的環境によく適応している。本州中部の暖地では年5~6回程度の発生を繰り返し,成虫は3月下旬~11月下旬にかけて見られる。幼虫で越冬する。近縁のシルビアシジミZizina otisは開張1.8~2.6cm。関東地方以南に分布し,ミヤコグサなどのマメ科植物を食べる。
執筆者:高橋 真弓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報