律の五刑の一つで,笞罪(ちざい)と同じく木の枝をもって臀部を打つ刑罰。60より100までの5等がある。杖罪に用いるむちは,常行杖といい,手もとの直径4分(約12mm),先の直径3分(約9mm)で笞罪に用いる笞杖よりも1分ずつ太い。長さは笞杖と同じく3尺5寸(約105cm)で,打ったときに受刑者の皮膚が破れて出血しないように,むちに用いる木の枝の節目を削り取ってある。役人がその執行方法を誤ったり,規定外のむちを用いたりした場合は,処罰される。笞罪の容疑者は囚禁されないが,杖罪の容疑者は刑具をつけずに獄に拘禁される。在京諸司で罪が発覚した場合,杖罪以下は当司にて専決し,徒罪以上は刑部省に送る。諸国の場合は,笞罪は郡が専決するが,杖罪以上は国に送る。また,帳内資人が本主の意に反して罪を犯した場合,杖罪以下は本主が執行することができる。杖刑は,すでに《隋書》倭国伝中に見えるが,律令刑罰体系の笞・杖の刑の初見は,《日本書紀》天武11年(682)11月条であろう。
執筆者:小林 宏
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