東アジア首脳会議参加(読み)ひがしあじあしゅのうかいぎさんか

知恵蔵 「東アジア首脳会議参加」の解説

東アジア首脳会議参加

オーストラリアとニュージーランドは2005年12月、マレーシアの首都クアラルンプールで開かれた東アジア首脳会議(EAS:East Asia Summit)に参加し、「東アジア共同体」構想に参画する方向性を打ち出した。この首脳会議にはインドも新規に参加。東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓3カ国、オセアニア2カ国、インド1カ国との対話構図を、ASEAN+3+2+1と呼ぶようになった。ASEANはオセアニア2カ国が東アジア首脳会議に参加する条件として、東南アジア友好協力条約(TAC)への調印を求めてきた。とりわけオーストラリアはTACへの調印が、アンザス(ANZUS)軍事同盟への障害になるのではないかと危惧していたが、ダウナー外相はTACへの加盟によってアンザス軍事同盟が拘束されることはないとの判断を示した。この考えにニュージーランド政府も同調し、両国の加盟が実現した。オセアニア2カ国のEAS加盟を支持したのは、日本とインドネシアの2カ国だ。台頭する中国の影響力を牽制する狙いから、オセアニア2カ国をEASに引き入れることで、日本の存在感を低下させないとの政治的判断が働いている。一方、中国との提携を促進する立場からタイ、さらにアジア人主体の首脳会議を唱導してきたマレーシアは、共にオセアニア2カ国のEAS加盟に反対、もしくは消極的な姿勢を示してきた。

(竹田いさみ 獨協大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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