日本大百科全書(ニッポニカ) 「東亜銀行」の意味・わかりやすい解説
東亜銀行
とうあぎんこう
Bank of East Asia, Ltd.
香港(ホンコン)の有力商業銀行。中国名正称は東亜銀行有限公司(コンス)。略称BEA。1918年に設立され、1920年に上海(シャンハイ)とサイゴン(現ホー・チ・ミン)に支店を開設、国の内外で幅広い銀行業務を展開した。
1952年、シンガポールに支店を開設し、1969年には銀行創立50周年記念行事として香港における高等教育支援のため50万香港ドル(6万4100米ドル)に上る奨学金制度を創設。また、中国では初めてハイテクを利用した最新のオンラインシステムによる業務運営を行う銀行となった。1975年、香港ドルによるクレジットカードを発行。1979年、中国との合弁事業チャイナ・エア・ケイタリング社China Air Catering Ltd.を共同経営し、中国銀行承認のもと外国通貨でのクレジットカードを発行。1984年にはイギリス海外領バーミューダにアメリカのエトナ・インターナショナル社Aetna International Inc.と対等の合弁会社東亜エトナ保険East Asia Aetna Insurance Co., Ltd.を設立。1986年、深圳(しんせん/シェンチェン)に中国と外国資本との初めての合弁金融会社を設立、大規模な銀行サービス業務の提供を開始した。1988年、不動産抵当証券事業を開業、1990年には上海に上海国際金融有限公司を設立、外国との合弁金融会社を初めて経済特別区(経済特区)外に設立し、すべての金融業務を行うようになった。1995年には中国連合銀行(1947年創業)を12億0087万香港ドル(1億5400万米ドル)で買収した。シンガポール、ニューヨーク(1984)、ロンドン(1990)、ロサンゼルス(1991)、カナダ、イギリス海外領バージン諸島(1993)、台北(タイペイ)(1997)に支店や関連会社をもつ。中国本土、台湾、ベトナムに駐在員事務所を構えるなど、アジア地域での活発な展開が目だつ。保険、金融会社など10の系列会社を傘下に有する。
2009年12月末時点の総資産は4341億香港ドル(560億米ドル)。国内139支店(うち52支店は、ワンストップの上質の金融サービスを提供するシュプリームゴールド・センターSupremeGold Centresを含む)を有する、国内最大手の地方銀行となっている。また、ロサンゼルスやニューヨーク支店に加え、BEAグループは子会社のThe Bank of East Asia (U.S.A.) N.A.を通じて北米の顧客にサービスを提供している。これらを含め、香港・中国本土もあわせると、国内外総計240の支店、子会社、代理店を有し、従業員数は1万人を超える。
[上川孝夫・佐藤秀樹]