中国の大手商業銀行。中国語では中銀もしくは中行、英語ではBOCと略される。以前は、中国人民銀行(中央銀行)を除けば、国内最大規模の外国為替(かわせ)専門銀行であったが、1994年の金融制度改革により国有商業銀行となり、さらに2004年には株式会社化された。
中国国内に現存する銀行のなかではもっとも長い歴史をもつ。中国銀行は1905年に清朝(しんちょう)政府が設立した戸部銀行(こぶぎんこう)を前身として1912年に設立された。設立から1928年までは政府の中央銀行としての機能を担った。1928年に改組され、上海(シャンハイ)に本店を置く政府特許の外国為替専門銀行となった。1949年、中華人民共和国建国後は中国銀行の名称は保持しつつ中国人民銀行の海外業務局に改組され、銀行としての独立性を失った。改革開放の開始後、1979年に人民銀行から分離、独立。1980年代なかばの銀行間業務の相互乗入れ容認後は、外国為替業務を主体に外貨・内貨の預金・貸付業務など多様化を進めた。外国為替銀行であったという性格上、日本や欧米など先進諸国やアジアの主要都市に支店をもち、中国の銀行として唯一の国際業務を行っている。国際金融市場から中国への資金調達窓口として果たしてきた役割は大きい。1980年には外国人が中国で旅費や買い物の支払いに用いる外貨兌換券(だかんけん)を発行(1994年廃止)。1982年には香港(ホンコン)に本店直属の港澳管理処(こうおうかんりしょ)を設立し、香港・マカオ支店とその傘下銀行によって形成される香港・マカオ中銀集団を一括して管理していた。香港・マカオ中銀集団は1994年から香港上海銀行、スタンダード・チャータード銀行に次ぐ第三の香港ドル発券銀行となった。なお、1994年には中国の金融改革により国営の商業銀行となった。一方、1995年には香港とマカオで銀行券の発行を開始。1997年にはロンドンで中国銀行国際持株有限公司(コンス)を開業した。2001年10月、中国銀行グループの10の加盟行の合併の結果、香港分行は「中国銀行(香港)」として独立している。
2004年8月、中国銀行は株式会社化を実施した。同行は中国の四大商業銀行の一角を占め、ユニバーサル・バンキング(預金貸付業務から証券、保険業務にまで及ぶ多角的な業務形態)を志向しているといわれる。2008年9月以降、ユーロ外貨預金業務の開始、人民元現金両替業務の拡大等により、徐々に経営規模を拡大している。2018年時点の預金残高は14兆8836億元、総資産は21兆2673億元。また、貸出金は11兆8193億元。57か国・地域に業務展開を行っており、従業員数は31万0119人。
[上川孝夫・佐藤秀樹 2019年5月21日]
中国の外国為替専業銀行。国民政府時代は中央,交通,中国農民各行とともに,政府支配下の四大官僚資本銀行として国の財政経済を独占的に牛耳った。その前身は,清朝末期に創立された戸部銀行で,1908年(光緒34)大清銀行と改称され,辛亥革命後の12年2月,官民共同出資の中国銀行となった。27年,国民政府は大量の政府株を導入することによって,この銀行を専有し,特許の国際為替銀行とし,国内外の大都市に分店,支店を網羅して金融界を支配した。中華人民共和国の成立後撤収され,改組されて,中国人民銀行管理下の外国為替銀行となった。79年,国務院の直属となり,総行を北京,分支行を全国各港湾や主要都市に配置して,為替取引業務や貿易,非貿易関係の外国為替の収支決算のみならず,計画的に外資の導入や輸出入資金の処理をはかり,大々的に国内建設を推進している。
執筆者:菊池 貴晴
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