中国の対外開放された地域の一つで、略称は特区。「改革開放」政策に沿って、特別な経済政策をとることが認められた中国版の輸出加工地域。外国企業や華僑(かきょう)の資金を呼び込み、国内の労働力を使って、輸出競争力のある商品をつくることをおもな目的とする。この地域における外資は、税制、土地利用などに優遇措置がとられる。
1979年に設置が決定し、80年8月に広東(カントン)省の深圳(しんせん/シェンチェン)、珠海(しゅかい/チューハイ)、汕頭(スワトウ)、福建省の厦門(アモイ)の4地区が選ばれ、88年4月には、海南島が広東省から分離・独立し海南省になると同時に、5番目の特区に指定された。いずれも中国南部に位置し、香港(ホンコン)・台湾資本の進出が目だつ。5か所の総面積は3万5000平方キロメートル。
「改革開放」政策を主導した鄧小平(とうしょうへい/トンシヤオピン)は、特区を「技術、管理、知識、対外政策のそれぞれの窓口」と位置づけ、計画経済から市場経済へ移行するための実験台にし、1992年に特区を視察した際に示した「南巡講話」では、改革開放のいっそうの拡大を強調した。その後、対外開放都市が沿海地区を中心に内陸部にまで増えたが、特区自体の優位性が薄れてきたため、政府は93年末「特区の改革開放の窓口としての歴史的任務は完了した」と総括した。しかし、国家主席江沢民(こうたくみん/チアンツォーミン)は94年6月「社会主義市場経済体制を早期に確立するため、特区は引き続き積極的な模索と経験を積むように」と指示し、存続を確認した。今後の課題として、労働集約型から資本集約型への脱皮、輸出一辺倒から国内販売重視への転換などがあげられる。
[鈴木暁彦]
『王紹光・胡鞍鋼著『中国国家能力報告』(1993・遼寧人民出版社)』▽『朴貞東著『経済特区の総括』(1996・新評論)』▽『胡鞍鋼著『中国発展前景』(1999・浙江人民出版社)』
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中国中央政府の指定を受け,高度な地方自主権を有し,格別な外資優遇政策が適用される改革・開放の実験地域。広東省の深圳(しんせん),珠海(しゅかい),汕頭(スワトウ)と福建省の厦門(アモイ)には1980年,海南省には88年に設置された。特に,深圳経済特区は香港に隣接することもあり,外資誘致と経済改革で成功を収め,一漁村から近代都市への変貌をとげ,その経験は改革・開放の拡大につながった。近年,地域経済格差の是正や公平的な競争が議論され,経済特区の不要論が浮上している。
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