東生郷(読み)ひむかしなりごう

日本歴史地名大系 「東生郷」の解説

東生郷
ひむかしなりごう

和名抄」は諸本とも訓を欠くが、摂津国東生郡を高山寺本が「ヒムカシナリ」、東急本が「比牟我志奈里」と訓ずる。「和名抄諸国郡郷考」はヒガシフとする。正倉院調布銘文に「近江国調小宝花綾壱匹花綾文織蒲生郡東生郷田尻小東人」とあり、田尻氏は綾の織成責任者であることを含め、蒲生郡に錦織集団がいたことを想定する説がある。承平二年(九三二)一月二一日の源昇家領近江国土田庄田地注文(東寺文書)には、土田つちだ庄内の領地七町余は東生郷にあったとみえる。郷域は「輿地志略」「日本地理志料」は現日野町の中心部とし、後者は日野・西大路にしおおじ上郡と称しているからこれを東生郷とみる。「大日本地名辞書」は現八日市市の旧蒲生郡域の大半と神崎郡永源寺町西部とし、「蒲生郡志」は八日市市と日野町北部にあてる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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