類聚三代格(読み)ルイジュサンダイキャク

デジタル大辞泉 「類聚三代格」の意味・読み・例文・類語

るいじゅさんだいきゃく【類聚三代格】

平安中期の法令集。30巻。現存は15巻。編者・成立年未詳。弘仁貞観延喜の3代の格を、神社・国分寺などに分類・整理したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「類聚三代格」の意味・読み・例文・類語

るいじゅさんだいきゃく【類聚三代格】

  1. 平安中期の法制書。一二巻本と二〇巻本の二系統がある。編者、成立年代未詳。官司別となっていた三代格(「弘仁格」「貞観格」「延喜格」)の記事を、神祇・仏事など事項別に分類したもの。古代史研究の重要史料

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改訂新版 世界大百科事典 「類聚三代格」の意味・わかりやすい解説

類聚三代格 (るいじゅうさんだいきゃく)

平安時代に編纂された法令集。編者は不明。1002-89年(長保4-寛治3)の間に編纂されたと推定される。《本朝書籍目録》は30巻と記すが,写本として残存するのは12巻本と20巻本で,いずれも完本はなく,両者を併せても欠失部分がある。内容は,弘仁格,貞観格,延喜格の三代の格(きやく)を類によって聚(あつ)めたもので,三代の格が官司ごとに配列されていたのを,内容により神社事,国分寺事,分置諸国事,調庸事,禁制事,断罪贖銅事など類によって集め,再編成している。三代の格の個々の格は,すべて《類聚三代格》に収録されたと考えられるが,その類聚にあたっては,機械的に配置を変えただけでなく,三代の格が執務の便宜上同一の格を二つの官司の項に収めている場合にはその一方だけを収めており,逆に,一つの格を二つの類に収めた場合もある。また類聚する際に官司名の追加など,形式的な書換えも行っている。本書が編纂されたのは,令外官(りようげのかん)の出現などにより,おもな政務が律令制の官司ごとに分掌されなくなった平安中期の状況を反映するものと考えられる。編纂当時から政務にあたるものの必読書として尊重されたようで,その普及につれて,三代の格はしだいに読まれなくなったと推定される。三代の格の写本も,弘仁格の事書と日付を抜き書きした《弘仁格抄》のほかには残存しない。したがって,欠失部分があるとはいえ,《類聚三代格》は三代の格の内容を伝える貴重な法令集で,律令制の変遷を研究する上で不可欠の史料となっている。《新訂増補国史大系》に収める《類聚三代格》が,もっとも優れた活字本であるが,東北大学図書館の狩野文庫所蔵の写本などによって,国史大系本の欠失部分を補う必要がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「類聚三代格」の意味・わかりやすい解説

類聚三代格
るいじゅうさんだいきゃく

弘仁(こうにん)、貞観(じょうがん)、延喜(えんぎ)の三代の格を内容別に集めて再編成した法典。三代の格は『延喜格』が施行されれば弘仁、貞観の両格は無効となるというものではなく、三代の格は同時に有効な法典であった。そして格文は官司別に配列してあり、法典としての格の利用上、検索に不備な点があった。しかも律令(りつりょう)政治が崩れた平安中期の先例重視、政治の有職故実(ゆうそくこじつ)化の大勢のなかで、『類聚三代格』はその要求にこたえる典例整備事業として編纂(へんさん)されたもので、それは『官曹事類(かんそうじるい)』『天長格抄(てんちょうきゃくしょう)』『類聚国史』などを参考として編纂されたものと思われる。そこで官司別の配列を改め、三代の格を神社事、国分寺事などに再編成した。編者は不明であるが、1002年(長保4)から1089年(寛治3)の間の成立で、12巻本と20巻本の二系統の写本があるが、いずれも完全な写本ではなく、両者あわせてもなお一部に欠落があるが、奈良・平安初期研究の重要史料である。『新訂増補国史大系』巻25に収める。

[福井俊彦]

『吉田孝著『類聚三代格』(『国史大系書目解題 上巻』所収・1971・吉川弘文館)』

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百科事典マイペディア 「類聚三代格」の意味・わかりやすい解説

類聚三代格【るいじゅうさんだいきゃく】

古代の法令集。編者不明。平安中期ごろ成立という。弘仁(こうにん)・貞観(じょうがん)・延喜(えんぎ)3代の格を神祇(じんぎ)・仏事などの内容に従って分類。律令時代の研究上重要な文献。30巻のうち12巻本と20巻本が写本として伝存するが,完本はない。→格式
→関連項目延喜格式弘仁格式三代格式貞観格式

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「類聚三代格」の意味・わかりやすい解説

類聚三代格
るいじゅうさんだいきゃく

『弘仁格』 10巻,『貞観格』 12巻,『延喜格』 12巻の三代の格を分類した法令集。編者未詳。 12巻か 20巻か原体裁は不明。一部に 30巻と伝えられるが根拠は薄い。現存 15巻。三代の格は散逸して伝わらず,『弘仁格抄』 (『弘仁格』の目録) でわずかに編目だけがわかるにすぎないから,この書物によって全貌を知ることができる。格は,律令に対する補充を目的とするものであるから,古代史研究上貴重である。三代の格は,それぞれの時点での有効法を編纂したものだが,先行の格に収録されているものは再録しない方針であった。 (→弘仁格式 , 貞観格式 )  

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「類聚三代格」の解説

類聚三代格
るいじゅうさんだいきゃく

弘仁・貞観・延喜3代の格文を集大成して分類・整理した法令集。平安中期の成立と推定されるが撰者不詳。3代の格がすべて官司別分類であるのに対し,本書は神社・仏事・諸司・諸国・交替・公廨(くげ)・農桑・調庸・田地など項目別にまとめる。30巻との伝えもあるが,現存するのは12巻本と20巻本の両種。一部に欠失があるため利用に際し注意を要するが,3代の格そのものが失われていることから律令国家研究に不可欠の文献である。格文の収録は機械的ではなく,一つの格文を複数の事項に分割採録する場合もある。「国史大系」所収。

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旺文社日本史事典 三訂版 「類聚三代格」の解説

類聚三代格
るいじゅうさんだいきゃく

平安前期の法令集
10世紀初めころの成立。20巻。現存17巻。編者不詳。弘仁・貞観・延喜の3代の格を集大成し,神祇・仏事・官司などに分類編集したもの。奈良・平安前期の重要史料。

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