東福寺城跡（読み）とうふくじじようあと

日本歴史地名大系

東福寺城跡
とうふくじじようあと

• 鹿児島県：鹿児島市
• 鹿児島
• 東福寺城跡

[現在地名]鹿児島市清水町・稲荷町・吉野町

稲荷（いなり）川河口の北側の鹿児島湾沿い、標高一一三メートルを最高地点とする北から南に延びるシラス丘陵を主とする山城跡。鹿児島城（暦応五年九月日「篠原国道軍忠状」旧記雑録など）、東福寺古城などともいう。暦応四年（一三四一）閏四月日の禰寝清種軍忠状（池端文書）などに東福寺城とみえ、同三年八月一二日、南朝方の肝付兼重・中村秀純が立籠った当城を北朝方守護島津貞久の禰寝清種らが攻撃している。同年一二月六日夜にも禰寝重種が攻撃した（同四年閏四月日「禰寝重種軍忠状」禰寝文書）。翌四年四月、いったん北朝方が攻め落していた当城を兼重らが奪い返したため、和泉保末が兼重の守る大手城戸口を攻撃し（同年閏四月日「和泉保末軍忠状」旧記雑録）、同月二六日に清種・清増・重種らが攻め落した（前掲重種軍忠状など）。なお北朝方は四月二八日、尾頸小（おくびこ）城（現稲荷町）も攻略、閏四月一日には矢上高純の立籠る催馬楽（せばる）城（現坂元町など）を攻め、一六日に攻め落した（前掲禰寝清種軍忠状など）。当城は暦応三年八月までは近辺の城とともに南朝方であったが、同月北朝方が城攻めをはじめ、翌年閏四月二六日に近辺の城と前後して制圧し島津氏の拠城となった。

島津貞久は浜崎（はまざき）城（当城の南端の曲輪）に中村（矢上）覚純を入れたが、貞和三年（一三四七）五月二九日覚純が南朝方谷山隆信勢を引込んだ。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」