矢上(読み)やがみ

日本歴史地名大系 「矢上」の解説

矢上
やがみ

中世よりみえ高来たかく郡内の地名で、伊佐早いさはや庄のうち。文永七年(一二七〇)七月一二日の錦部行守等連署紛失状案(大徳寺文書)に「肥前国矢神浦」とみえ、当地に比定しうるが、同年二月庄務のためこの浦に来た錦部行利らが五月に夜討で殺害され、摂津国武庫むこ西条(現兵庫県尼崎市)に買ってあった土地や所従などの証文を盗まれたという。元徳二年(一三三〇)一二月一六日の鎮西裁許下知状(嬉野文書)に伊佐早庄矢上村とみえ、村内女子分の田地二町・荒野五町をめぐって矢上次郎(念戒)と宇礼志野通直の間で相論があったものの、和与が成立。建武五年(一三三八)矢上空閑民部三郎入道の妻女(豊島氏)の所領であった伊佐早庄戸石といし村内田八町などの地頭職が勲功の賞として深堀政綱に宛行われた(同年二月九日「一色道猷宛行状」深堀文書など)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「矢上」の意味・わかりやすい解説

矢上
やかみ

島根県中央部、邑智(おおち)郡邑南(おおなん)町の中心地区で町役場所在地。旧矢上町。2004年(平成16)に邑南町が成立するまでは石見(いわみ)町。江の川(ごうかわ)支流濁川(にごりかわ)上流部の盆地にあり、古くから砂鉄採取とたたら製鉄が盛んであった。

[編集部]

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