島津国史(読み)しまづこくし

日本歴史地名大系 「島津国史」の解説

島津国史
しまづこくし

三二巻二四冊 山本正誼編

成立 享和二年

原本 東京大学史料編纂所

写本 鹿児島大学附属図書館玉里文庫・東京国立博物館

解説 鹿児島藩の造士館教授山本正誼が寛政九年に藩主島津重豪の命を受けて編纂に着手し、享和二年に完成させて時の藩主島津斉宣に献上した漢文編年体の薩摩大隅・日向三ヵ国の歴史書。島津家初代忠久時代の文治元年から重年治世の宝暦五年に至る記事を収める。島津光久の命による平田正純の「新編島津氏世録正統系図」や、島津重豪の命による郡山遜志の「島津世家」など藩記録所編纂の史書類のほか、自ら収集した史料をもとに編纂したもので、典拠とした原史料や記録・系図などを示して記述は極めて正確で、信頼性の高い鹿児島藩の正史として基本的文献史料の一つとされている。

活字本 明治三八年(和装本一〇冊、島津家臨時編輯所)刊・昭和四七年(合冊復刻洋装本、鹿児島県地方史学会)


島津国史
しまづこくし

三二巻二四冊 山本正誼編

成立 享和二年

写本 東京国立博物館・東京大学史料編纂所など

解説 島津忠久以来の歴代島津家当主について、その事跡を編年体で叙述した鹿児島藩の正史。「新編島津氏世録正統系図」と明和六年成立の郡山遜志編「島津世家」を継承しながら、島津家記録所などに所蔵された文書・記録・系図などを活用し典拠を示して編年・実証的に叙述している。南九州の政治動向を知る際の基本書の一つである。ただし編者儒学、ことに「春秋左氏伝」に造詣が深いため、史実解釈を四書五経の知識を背景名分論で解釈した部分もあり、注意を要する。

活字本 明治三八年刊(一〇冊)・昭和四七年復刊(一冊)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

百科事典マイペディア 「島津国史」の意味・わかりやすい解説

島津国史【しまづこくし】

島津氏を中心にした薩摩・大隅・日向3ヵ国の編年史。32巻。1802年成立。編纂主任は鹿児島藩造士(ぞうし)館教授山本正誼(まさよし)で,藩主島津重豪(しげひで)の命により,《新編島津氏世禄正統系図》など藩記録所で収集・編纂した史料集や郡山遜志(こおりやまそんし)の《島津世家(しまづせいか)》などをもとに編纂された。記述の典拠も示されており,島津氏や鹿児島藩研究の基本史料とされる。和装本10冊および合冊復刻洋装本が刊行されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「島津国史」の意味・わかりやすい解説

島津国史 (しまづこくし)

1185年(文治1)より1755年(宝暦5)までの島津氏を中心にした薩摩・大隅・日向3国の編年史。漢文体。全32巻。1802年(享和2)完成。編纂主任は造士館教授山本正誼。25代藩主島津重豪の特命をうけ《新編島津氏世禄正統系図》等藩記録所で収集編纂した史料集や,郡山遜志の《島津世家》を改撰したもの。記録・系図等の典拠をあげ記述は正確で,正誼の思想もうかがえる。和綴10冊本および合冊覆刻本が刊行されている。
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