松の門三艸子(読み)まつのと みさこ

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「松の門三艸子」の解説

松の門三艸子 まつのと-みさこ

1832-1914 幕末-大正時代の歌人
天保(てんぽう)3年3月3日生まれ。江戸下谷数寄屋町の名主の娘。夫と死別後井上文雄の門にまなぶが,家が没落し深川芸者となる。小三と称し,美貌才気でならす。後年,歌誌「しきしま」の選者をつとめ,歌塾をひらいた。大正3年8月22日死去。83歳。のち門人により「松の門三艸子歌集」があまれた。本名は小川みさ。
格言など】いつくしみなでてうけたる黒髪をけふたらちねのみ手に返さん(母がなくなった際,自分の髪を切って墓前に供えたときの歌)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

朝日日本歴史人物事典 「松の門三艸子」の解説

松の門三艸子

没年:大正3.8.22(1914)
生年:天保3.3.3(1832.4.3)
幕末明治期の歌人。父は江戸下谷数寄屋町の名主小川宗兵衛。母は寿賀。容姿すぐれ13歳で結婚したが,夫と死別し実家へ帰って井上文雄に和歌を学び,同門の大野貞子と共に桃桜とたたえられた。実家没落後,深川芸者になり,維新の元勲らの殊遇を得る。晩年は歌塾を開き,短歌雑誌の選者にもなるなど人気歌人となった。<著作>大峰筆子編『松の門三艸子歌集』<参考文献>『明治女流文学集』(『明治文学全集』81巻)

(柴桂子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

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