朝日日本歴史人物事典 「松平太郎」の解説
松平太郎
生年:天保10(1839)
幕末の幕臣,陸軍奉行並。本名は正親。明治1(1868)年1月の鳥羽・伏見の戦に敗れて江戸に帰り,陸軍奉行並に任じられた。同年4月,旧幕府軍を率いる大鳥圭介を下野国今市に訪ね,資金を渡して自重を求めた。8月,榎本武揚らと共に軍艦を率いて江戸湾を脱出し,仙台で大鳥らを乗船させ箱館を占領,12月士官以上の投票により副総裁に選出された。翌2年5月政府軍の総攻撃に際し,箱館奪回の隊長として奮戦したが敗退,降伏して榎本らと東京へ送られた。同5年の特赦後2年ほど開拓使に勤務。その後2,3の官職を経て実業を志したが成功しなかった。なお,『江戸時代制度の研究』の著者松平太郎は同名の嗣子である。<参考文献>河野常吉『函館区史』
(長谷川伸三)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報