国指定史跡ガイド 「松江藩主松平家墓所」の解説
まつえはんしゅまつだいらけぼしょ【松江藩主松平家墓所】
島根県松江市外中原町・国屋(くや)町にある墓所。松江藩主松平家歴代の菩堤寺である月照寺は、もと洞雲寺(とううんじ)という禅寺であった。1664年(寛文4)、初代藩主の松平直政が生母月照院の霊牌をここに安置し、浄土宗に改めて蒙光山(むこうさん)月照寺と改称した。直政が没すると、2代藩主綱隆(つなたか)はここに直政の廟を設け、山号を歓喜山とし、松平家の菩提寺とした。約1万坪の墓域には、松平9代までの歴代の廟がある。それぞれ廟門や石造鳥居、五輪塔形式の基塔を構え、基塔は石柱の垣で囲い、多数の石灯籠を備えた風格ある大名墓である。また、それぞれの廟の基塔に向かって飛び石や手水鉢(ちょうずばち)や蹲踞(つくばい)を配し、茶室露路風となっている。統一した形式を維持し個性的で、時代的特徴をよく表した歴代の廟が一体となって遺存しており、近世の大名家墓所の葬制の一端がうかがえる。1996年(平成8)に国の史跡に指定された。門外には、7代治郷(不味(ふまい))の下で藩政改革を推進した朝日丹波の紀功脾などがある。境内の月照寺宝物殿で歴代藩主や夫人たちの遺品などを展示している。JR山陰本線松江駅から市営バス「月照寺入口」下車、徒歩約10分。