松虫塚(読み)まつむしづか

日本歴史地名大系 「松虫塚」の解説

松虫塚
まつむしづか

[現在地名]阿倍野区松虫通一丁目

阿部野あべの街道(熊野街道)沿いにある。榎の古樹がそびえ、塚名を刻んだ石碑が建つ。「摂陽群談」は、昔二人連れの男がこの地を通りかかった時、松虫の声が面白いので一人がその声を慕って行った。しかしそのまま帰って来ないので、あとを尋ねてみると、彼は草に伏して死んでいた。そこで遺体土中に埋め、松虫塚と名付けたという話を載せ、謡曲「松虫」のなかでは男性同士の恋慕に近い友情がうたわれた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報