柱頭行者(読み)ちゅうとうぎょうじゃ(その他表記)stylite
pillar saint

改訂新版 世界大百科事典 「柱頭行者」の意味・わかりやすい解説

柱頭行者 (ちゅうとうぎょうじゃ)
stylite
pillar saint

柱の上で単独で修行するキリスト教修道士。5世紀から10世紀にかけて,シリアメソポタミアエジプトギリシアなどに現れた。最初の柱頭行者はシリアのシメオンSymeōn(390ころ-459)で,通常の修行方法に飽きたらず,他人に妨げられぬようにと柱にのぼったという。この修行方法はたちまち広まり,徳を慕って人々がまわりに集まるなどして,孤独な修行方法という本来目的は失われた。
隠修士
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「柱頭行者」の意味・わかりやすい解説

柱頭行者
ちゅうとうぎょうじゃ
stylites; pillar saints

1本の柱の上で生活しながら苦行した独修士。柱の高さは決っておらず,ときには柱上に仮小屋がしつらえられることもあった。食事弟子によって供給された。このような禁欲修行法は,その創始者大シメオン (5世紀) 以後,シリア,パレスチナ,メソポタミアに多く実行された。その代表者は5世紀のダニエル,6世紀の小シメオン,10~11世紀のラザロスなど。彼らは苦行したばかりではなく,ときには慕い来る人々に布教活動を行なった。

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世界大百科事典(旧版)内の柱頭行者の言及

【隠者】より

…隠者の行動様式は本来,個々人に特有なものであるが,各地に拡大するにしたがって,より多様化し,故意に誘惑のなかに身をおいて忍耐力をためしたり,一般信徒に説教をほどこしたり,伝道に従事したりするなどの例があげられる。エジプトの隠者修行は,ギリシア正教にうけつがれ,荒野や柱上(柱頭行者)で孤独に修行するものを輩出し,系譜上は現在にまで継承されている。ヨーロッパ世界に導入されたものは,一部はしだいに共住制をとってヨーロッパ修道院制に発展するが,本来の形態をまもるものも,多数存在した。…

※「柱頭行者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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