栗屋城跡(読み)くりやじようあと

日本歴史地名大系 「栗屋城跡」の解説

栗屋城跡
くりやじようあと

[現在地名]越前町厨

くりや浦の東背後にあるじよう(五一三メートル)山頂にあり、その西方前面に通称小城こじようがある。西は日本海、東は丹生山地から福井平野を望む絶好の要地で、城山小城との間に別司べつし峠、城山の南に厨峠があり、それぞれ海岸と内陸を結ぶ交通路として利用された。城跡は現在愛染明王社や釣鐘堂のある郭を中心に、東西両側に多くの腰郭をもち、北側には二本の堀切と一本の竪堀がみられる。

鎌倉時代には島津豊後守忠久が、南北朝時代には新田義貞拠城したと伝える。「太平記」巻三九(諸大名讒道朝事付道誉大原野花会事)に貞治四年(一三六五)八月(正しくは貞治五年)「道朝、二宮ヲ待付テ、越前ヘ下著シ、軈テ我身ハ杣山ノ城ニ籠リ、子息治部大輔義将ヲ栗屋ノ城ニ籠テ、北国ヲ打随ヘント被議ケル間」と記され、失脚した越前守護斯波高経(入道道朝)の一族が越前に下国し、その子義将が当城に拠城している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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