根曳きの松(読み)ネビキノマツ

デジタル大辞泉 「根曳きの松」の意味・読み・例文・類語

ねびき‐の‐まつ【根×曳きの松】

正月初めのの日に、根ごと引き抜いた松。正月の門松に用いた。
[補説]曲名別項。→根曳の松

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「根曳きの松」の意味・わかりやすい解説

根曳きの松
ねびきのまつ

地歌箏曲曲名。「根引きの松」とも書く。大阪の三つ橋勾当の作になる三弦手事物。のち各種の替手や箏の旋律が作られ,いろいろな合奏形式で演奏。箏の手は,大阪では峰崎勾当,京都では八重崎検校の作と伝えられる。山田流への移曲者は未詳。山田流でもその編曲は派によって異なり,三弦の替手がついたりもするが,標準的にはタテ (箏第一奏者) は地と称する替手風即興演奏を行うことがあり,その固定したものは一種の替手ともいえる。作詞は松本一翁と伝えられ,正月子 (ね) の日に長寿を祝って根つきの松を引抜いて遊ぶその松を曲名とするが,歌詞は新春の情景をさまざまに述べたものとなっている。伊勢の代神楽,摂津田蓑島のつる,箏組歌『ふき』からの春風と門松の描写,正月の万歳と君が代を祝う結句などの間に手事が3回入る。最後の手事はマクラがあり2段に分けられ,巣籠地を合せることもある。三味線の調弦は低二上り三下り本調子-二上りと転じ,箏もそれに応じて変化する。各派とも手事物としての難曲で,大阪では『松竹梅』『名所土産』とともに『三役物』といい,伝承上も重要な曲とされている。

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