桂菴墓(読み)けいあんのはか

国指定史跡ガイド 「桂菴墓」の解説

けいあんのはか【桂菴墓】


鹿児島県鹿児島市伊敷町にある墓所。市の西方にある山裾に所在する、室町~戦国期の僧、桂菴玄樹の墓。墳墓地域は方形に玉垣がめぐらされ、墓碑石碑、石灯籠、手水鉢などが遺存。1936年(昭和11)に国の史跡に指定された。桂菴は、1427年(応永34)に周防(すおう)の山口に生まれ、京都に上って仏門に入り、1467年(応仁1)には明国に渡り儒学を学び7年後に帰国。1481年(文明13)に、わが国初の朱子学書『大学章句』を刊行、その後、『家法和訓』を完成するとともに多くの門人に朱子学を講じて普及に努めた。76歳の時、伊敷梅ヶ淵の東帰庵(現在の墓所地)に隠遁し、82歳で逝去。墓は、二十五回忌に門人によって祀られ、1722年(享保7)に墓石が建てられた。その後、造士館教授・市来政正らが石灯を建てて祀り、1843年(天保14)には、薩摩の歴史学者、伊地知季安(いじちすえよし)の計らいで、佐藤一斎の撰文を琉球の鄭元偉が揮毫(きごう)した石碑が建立された。1908年(明治41)には、当時の鹿児島県知事によって400年祭が行われ、石灯籠が建てられた。現在、一帯は桂庵公園として整備されている。JR九州新幹線ほか鹿児島中央駅から車で約30分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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