梁川紅蘭(読み)やながわ・こうらん

朝日日本歴史人物事典 「梁川紅蘭」の解説

梁川紅蘭

没年:明治12.3(1879)
生年:文化1.3.15(1804.4.24)
幕末明治期の画家。美濃国安八郡曾根村(岐阜県安八郡)に,稲津長好の娘として生まれる。14歳のとき,江戸遊学から帰郷した詩人梁川星巌について詩文を学び,17歳で星巌と結婚。中林竹洞に画を学ぶと伝えられるが確証はない。遺作の「群蝶図」(個人蔵)などをみると,緻密な彩色による写生図譜を写したような作風を示しており,江馬細香のように四君子図や南画風山水図にとどまらない自在な画風が想像される。その作品の多くに夫の賛がある。夫と共に諸国を漫遊し,安政の大獄(1858)で捕らえられる直前に夫が病死したため夫の身代わりに投獄される。出牢後は京都に出て私塾を開き余生を送った。

(安村敏信)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「梁川紅蘭」の解説

梁川紅蘭 やながわ-こうらん

1804-1879 江戸後期-明治時代の漢詩人。
文化元年3月15日生まれ。梁川星巌(せいがん)の妻。夫婦で諸国をめぐり詩作にはげむ。のち尊攘(そんじょう)運動にかかわり,安政の大獄で半年間投獄された。画にもすぐれ,「群蝶図」が知られる。明治12年3月29日死去。76歳。美濃(みの)(岐阜県)出身本姓は稲津。名は景。別号張景婉(ちょう-けいえん)。詩集に「紅蘭小集」。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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