梁辰魚(読み)りょうしんぎょ(その他表記)Liang Chen-yu

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「梁辰魚」の意味・わかりやすい解説

梁辰魚
りょうしんぎょ
Liang Chen-yu

[生]正徳15(1520)?
[没]万暦8(1580)?
中国,明の劇作家崑山 (江蘇省呉県) の人。字,伯竜。号,少白,仇池外史。太学生にまでなったが仕官はせず,旅を好み,呉,楚の地方はすべて遍歴し,さらに天下名勝をすべて訪れようとしたが果さず没した。詩,詞,曲に巧みで,花柳界でその作が争って歌われたという。雑劇の作品に唐の伝奇小説に基づく『紅線女』『紅しょう』があるが,特に范蠡 (はんれい) と西施との恋愛を描いた南曲『浣紗記』が有名で,崑曲前期の代表作とされている。ほかに散曲集『江東白苧 (はくちょ) 』がある。

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世界大百科事典(旧版)内の梁辰魚の言及

【戯文】より

… ところで,歌辞をうたうには土地によって流派を異にし,発祥の地名を冠して海塩腔・弋陽腔(よくようこう)・余姚腔などと称していたが,嘉靖年間に崑山の魏良輔がはじめた崑曲の調べが好評で,急速に各地に伝播した。曲律を重んずる劇作家の沈璟は,専ら崑曲によって戯曲を書くことを主張し,梁辰魚が崑曲に合わせて作った《浣紗記》は,世人の耳を喜ばせ,崑曲の勢力を伸張した。しかしこれに対して,湯顕祖は海塩腔の一派の宜黄腔によって戯曲を書き,かつ宜黄の俳優の指導者でもあり,また歌辞は曲律よりも文辞を尊重すべきであると主張していたから,二人はきびしく対立し,万暦の戯曲界を二分して論争を繰り返した。…

※「梁辰魚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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