中国,江蘇省南東部の県。人口75万(2000)。上海と蘇州のほぼ中間にある。この付近は長江(揚子江)下流デルタにおいて,歴史時代には陸化がすすんでいた地域で,春秋時代には蘇州を都とした呉の領域に属し,前漢にすでに婁県(ろうけん)が設置された。デルタの先端部が開発されるとともに城鎮の設置もすすみ,南朝の梁代には蘇州の東方は北の信義県と南の崑山県に分かれた。崑山は今の松江県にある山の名である。唐代,さらに城鎮が増加するなかで,崑山の名はもとの婁県の地に移り,今に至る。水陸交通の中継地であり,水稲,小麦,菜種などの農業もさかん。明末・清初の学者顧炎武の出身地でもある。県城の北西の平地にひとりそびえる山は玉峰山(馬鞍山)という。
執筆者:秋山 元秀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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