デジタル大辞泉 「棚引く」の意味・読み・例文・類語 たな‐び・く【棚引く】 [動カ五(四)]1 雲や霧また煙が横に長くただよう。「煙が―・く」「霞が―・く」2 長く集め連ねる。「数千騎の軍兵を―・いて都へ入り給ふ由」〈平家・三〉[補説]「たな」は接頭語。また、「なびく」に接頭語「た」のついたものともいう。[類語]はためく・翻る・ひらめく・靡く・翻す 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「棚引く」の意味・読み・例文・類語 たな‐び・く【棚引】 ( 「たな」は接頭語か )[ 1 ] 〘 自動詞 カ行五(四) 〙 雲や霞などが薄く層をなして横に長く引く。とのびく。[初出の実例]「其(そ)れ清明者(すみあきらかなるもの)薄靡(タナヒキ)(別訓 かすみなひき)て天(あめ)と為(な)り」(出典:日本書紀(720)神代上(兼方本訓))「ハタガ tanabiqu(タナビク)」(出典:日葡辞書(1603‐04))[ 2 ] 〘 他動詞 カ行四段活用 〙 長く集め連ねる。なびかせる。[初出の実例]「数千騎の軍兵をたなびいて、都へ入給ふ由聞えしかば」(出典:平家物語(13C前)三)棚引くの補助注記語構成については、「た━なびく(靡)」で、動詞「靡(なび)く」に接頭語「た」を冠したものとも、「たな━ひく(引)」で、タナは、トノと語源的に通じる接頭語であって、十分の意ともいわれる。用例の文脈から推すと、後者が妥当か。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例