森の歌(読み)もりのうた(その他表記)Песнь о лесах/Pesn' o lesah

日本大百科全書(ニッポニカ) 「森の歌」の意味・わかりやすい解説

森の歌
もりのうた
Песнь о лесах/Pesn' o lesah

ロシアのショスタコビチが1949年に作曲したオラトリオ(作品81)。歌詞は詩人エフゲニー・ドルマトフスキーで、7曲からなる。演奏にはテノールとバスの独唱、児童合唱、混声合唱および管弦楽を要する。作曲者自身の自然に対する深い愛着が、国家の推進する大規模な植林事業というテーマと結び付いて生み出された作品で、全曲を通してロシア民謡『鶯(うぐいす)は静かに幸せの歌をうたう』の旋律骨格として用いられ、平易な技巧でかつてのソ連社会主義国家の建設に励む国民の姿が描かれている。当時の社会主義リアリズムの立場からは圧倒的な称賛を得たが、スターリン批判以後は歌詞に若干の修正が加えられた。作曲の年にレニングラードサンクト・ペテルブルグ)で初演された。

[三宅幸夫]

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デジタル大辞泉プラス 「森の歌」の解説

森の歌

旧ソ連の作曲家ドミトリー・ショスタコーヴィチのオラトリオ(1949)。旧ソ連当局から受けた芸術家批判に対し、スターリンが進めていた植林事業を称えるオラトリオを作曲し、地位と名誉の回復に努めた。

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世界大百科事典(旧版)内の森の歌の言及

【オラトリオ】より

…ドイツではJ.ハースが《聖エリーザベト》(1931)で民謡風の旋律をとり入れオラトリオに新風を送り,その他主要作品としてヒンデミットの《無限なるもの》(1931),C.オルフの《キリストの復活》(1957),W.シュトックマイアーの《ヒストリア》(1980)などが挙げられる。またソ連では社会主義リアリズムの立場から,ショスタコービチの《森の歌》(1949),プロコフィエフの10楽章からなる合唱曲《平和の守り》(1950)が作曲された。このように種々のオラトリオが出現し,さらに今日では不確定な音程やトーン・クラスター(密集音塊)などの新技法の応用によってオラトリオの新局面が探求されている。…

※「森の歌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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