極地の帰属(読み)きょくちのきぞく(その他表記)territorial sovereignty over the polar regions

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「極地の帰属」の意味・わかりやすい解説

極地の帰属
きょくちのきぞく
territorial sovereignty over the polar regions

地球上の陸地は 19世紀の末までに大半が各国へ分割されてしまい,帰属未定の地はわずかに南北両極の地域のみとなった。 20世紀に入って各国の領土的野心極地に向けられ,極地の領有を主張する国が相次いで登場した。北極に関しては 1925年にカナダが,1926年に旧ソ連が自国領から北極点に及ぶ区域の領有を宣言した。南極では 1908年にイギリスが,南極大陸の一部および周辺の諸島統治を宣言したのを皮切りに,計8ヵ国がそれぞれセクターを設定して領有権を主張した。北極に関してはカナダ,旧ソ連両国が実効的占有の要件を満たして領有権を確立したが,南極に関しては各国の主張が平行線をたどった。妥協策として 1959年 12月に関係諸国により南極条約が締結され,各国の領有権の主張を凍結したうえで平和的利用の原則などが取り決められた。条約は 1991年6月 23日に発効後 30年を経過し,以後は締約国の要請があれば,条約の運用について検討するための国際会議が開かれることになった。

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