改訂新版 世界大百科事典 「極望遠鏡」の意味・わかりやすい解説
極望遠鏡 (きょくぼうえんきょう)
polar tube
地球の自転軸の方向の天球における見かけの位置を測定するための天体写真望遠鏡。これによって,自転軸のみそすり運動の反映である歳差と章動および地球の公転速度を表す光行差定数を決定する。天の北極に向けて固定した望遠鏡で星野を長時間撮影すると,北極星など極周辺の恒星は大小の円弧状に写るが,各円弧の中心は同一点であり,これが恒星天に対する自転軸の方向である。望遠鏡は口径20~30cm,焦点距離数m~十数mのものが用いられ,撮影の対象は北極から1°以内にある10等級程度の微光星である。実際の露光は連続ではなく,数十分~数時間ごとに数十秒~数分間,間欠的に行い,この露光中は,乾板を日周運動に合わせて回転する。したがって星は円弧上に並んだ点像となる。
執筆者:森 巧
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報