天体が東から西に約1日で空を一周する運動を天体の日周運動という。日周運動により天体が天球上に描く軌跡を日周圏と呼ぶ。太陽の場合は,毎朝東の空に昇り南の空を通って西の地平線に沈むのが日周運動であるが,北極星の近くの星は,天の北極のまわりに時計の針と逆の向きに回転する。この場合でも星は東から西に回転するという。
すべての天体は天球の上にのっていると考えれば,天体の日周運動は天球の日周運動となる。天球の日周運動が地球の自転運動の反映であることはいうまでもない。地球は北極から見下ろして時計の針と逆の向き(西から東)に23時56分4秒の周期で自転しているので,天球も同じ周期で天の北極を中心に東から西に回転する。この周期は恒星日といわれる。恒星は天球上に固定しているので,正確に1恒星日で空を一周するのである。太陽,月,惑星は天球上を移動するので,これらの日周運動は恒星より複雑になる。例えば太陽の日周運動は,南中から南中までの時間(真太陽日)が恒星日より平均3分56秒長いが正確には一定でなく,また日の出から日没までの空の経路も季節によって変わり,冬は低く夏は高い。
執筆者:堀 源一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
地球が西から東へ自転しているため、その地球に乗っている観測者から見ると、すべての星は地上に対して東から西へ動いているように見える。この動きを日周運動という。夜空の星が天球上に散りばめられたものとすれば、この天球自体が、天の北極と南極とを結ぶ線を軸(地球の自転軸と一致)として、地球自転と反対向きに回転していると考えることができる。この1回転の時間は地球の自転周期に等しく、23時間56分4秒である(一恒星日)。北半球における日周運動では、天の北極近くの星は周極星となるが、天の北極から離れた星は地平線を横切って運動する。その場合、星は東側の地平線から南に傾いて昇り、いちばん高く昇ったとき南にもっとも寄り(このときの高度を南中高度という)、西側の地平線に北に傾いて沈む。赤道上で見る星の日周運動は、東の地平線から垂直に昇り、西の地平線に垂直に沈む。一方、北極や南極における日周運動は大地に平行に回る。
[北村正利・岡崎 彰]
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