日本大百科全書(ニッポニカ) 「極秘文書」の意味・わかりやすい解説
極秘文書
ごくひぶんしょ
一般には、国や企業などの機密性の高い文書をさす。日本の法律では、2014年(平成26)12月の特定秘密保護法(平成25年法律第108号)の施行以降、特定秘密に指定されない行政文書のうち、非公開にする必要のある行政文書をさす。具体的には、特定秘密保護法や「行政文書の管理に関するガイドライン(指針)」で、非公開とすべき行政文書を、安全保障に関する「特定秘密」、特定秘密ではないものの漏洩(ろうえい)すると国の安全・利益に損害を与えるおそれのある「極秘文書」、極秘文書に次ぐ程度の秘密であって関係者以外に知らせてはならない「秘文書」の三つに整理・分類した。つまり極秘文書は、秘密度の2番目に高い行政文書といえる。極秘文書は、各省庁の部局長が指定する。指定期間は5年以内であるが、5年を過ぎた場合でも、必要に応じて指定期間を延長できる。各省庁では極秘文書の管理に責任を負う管理責任者を置き、管理細目を規定し、極秘文書の管理状況を毎年、各省庁の閣僚へ報告するよう義務づけた。日本では特定秘密保護法の施行以前には、国の行政機関がとくに秘匿(ひとく)する必要があるとして指定した「特別管理秘密」のほか、各省庁の内部規定に基づく「極秘文書」「秘文書」や、防衛省の「特別防衛秘密」「防衛秘密」などが乱立し、基準や管理が各省庁でばらばらであった。政府(内閣府公文書管理委員会)は2015年と2017年に、「行政文書の管理に関するガイドライン(指針)」を改正し、取扱基準を統一すると同時に厳重管理を徹底した。特定秘密保護法の施行以降、「特別管理秘密」や「特別防衛秘密」等は廃止された。
[矢野 武 2019年3月20日]