弓の弦を鳴らす楽器。弓琴ともよばれる。弾力性のある棒を曲げて両端に紐(ひも)を結び付けたものと、棒の一部を裂いて弦にしたもの(切り出し弦式)とがある。狩猟の弓との先後関係については意見が分かれている。現在は、パタゴニアからカリフォルニアまでのアメリカ、中央および南アフリカ、アジア、オセアニアにみられる。かつてはヨーロッパ(オランダ、イタリア、リトアニア、東プロシア)でもみられた。発生は新石器時代で、最古の弦楽器として、弦の数を増したものがライアやハープ系統の楽器に、共鳴器をつけたものがリュートやチター系統の楽器につながったとされる。
[前川陽郁]
…戦闘・狩猟などに用いる弓に似た音楽用具が二通りある。(1)弓自体を楽器とする場合 つまり弦が発する音を利用するもので,楽弓musical bow,弓琴(きゆうきん)などの総称語がある。実例としてしばしば挙げられてきたのは,アフリカ,南アメリカなどのものであるが,他の地域にも散在する。…
※「楽弓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」