権輿もない(読み)けんにょもない

精選版 日本国語大辞典 「権輿もない」の意味・読み・例文・類語

けんにょ【権輿】=も[=が]ない

① 思いがけない。思いもよらない。また、意外さに驚くばかりである。けんにょうもない。
※かた言(1650)二「けんにょもなひことといふこと葉は如何。都而(すべて)おもひがけなきことに云習はせり
② 思いがけないことだというふりをする。知らん顔をする。また、平然としたさまをする。何事もないような様子をする。けんにょうもない。
浮世草子・色里三所世帯(1688)中「壱人して十二三度つつも枕を替入乱れてもみにもみしが、女はけんにょもない顔」
③ そのような様子が少しもない。
浄瑠璃大内裏大友真鳥(1725)四「命日月忌のけんにょもなく、面白そふに臼(うす)引き哥」

けんにょう【権輿】 も ない

寒川入道筆記(1613頃)愚痴文盲者口状之事「扨扨けんにょうもない所にあった事じゃと」
※浄瑠璃・傾城八花形(1703)三「いとしかはいひ女房を、そもやそもつとめをさせて、其金で身命がどうつながるる物なるぞ、いやはやけうがる一言と、けんにょうもないかほつき也」

けんよ【権輿】 も ない

思いもよらない。また、気にかかることがない。意に介さない。けろりとしている。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※浮世草子・好色一代男(1682)四「長ひ刀に長脇指をぼっこんで、をせさよいさとうたへど、権輿(ケンヨ)もなひ顔して居る」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「権輿もない」の意味・読み・例文・類語

権輿けんよもな・い

何も心配しないで、けろりとしているさま。気にしない。
「おせさ、よいさ、と唄へど―・い顔して居る」〈浮・一代男・四〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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