堆積盆地(読み)たいせきぼんち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「堆積盆地」の意味・わかりやすい解説

堆積盆地
たいせきぼんち

盆状地に限らず地層が厚く堆積している凹地のこと。通常、継続的に沈降している間に、厚く堆積物で埋積された同時堆積盆地synsedimentary basinのことをいい、堆積盆ともいう。緩やかに求心的に傾く地層からなる地域でも、堆積後に地層が曲動して盆地状構造をとるに至った後堆積盆地(こうたいせきぼんち)post-depositional basinは、構造盆地tectonic basinとよばれ、堆積盆地とは区別されている。堆積盆地において、堆積層表面(地形的盆地底)と堆積層基底面のそれぞれの最深部を示す地形軸と盆地軸や、堆積層の最厚部を示す堆積心の位置とは一致するとは限らない。一般に堆積心は堆積の進行とともに前面に移動する。堆積盆地は、
(1)狭義の堆積盆地(クラトン安定陸塊内盆地とクラトン周辺盆地)
(2)トラフtrough(地向斜海溝
(3)地溝graben(クラトン内地溝とクラトン間地溝)
(4)海洋縁辺域ocean margin basin
などに区別されている。

[壽圓晋吾]

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百科事典マイペディア 「堆積盆地」の意味・わかりやすい解説

堆積盆地【たいせきぼんち】

堆積岩がある期間連続的に形成される沈降地域(凹所)。地表起伏は基本的には地盤隆起,沈降に基づくものであるが,詳細にみれば,削剥(さくはく)量,物質の供給量なども関与し,したがって堆積盆地は地形的凹所と正確に一致するものではない。堆積盆地は,実際には水中,特に海中の場合が多い。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「堆積盆地」の意味・わかりやすい解説

堆積盆地
たいせきぼんち
sedimentary basin

陸地に接する海洋底には河川の運び込んだ土砂が堆積する。水中の堆積物が逐次成層する期間には,海洋底が沈降し続けて土砂を受入れ,ついには厚い堆積物で満たされた盆地状の構造が形づくられる。このように地質時代のある期間沈降を継続する地域に,一連の地層が生成する場所を堆積盆地という。炭田を構成する厚い堆積岩の分布域は炭田堆積盆地であって,この典型である。

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