横切(読み)よこぎる

精選版 日本国語大辞典 「横切」の意味・読み・例文・類語

よこ‐ぎ・る【横切】

[1] 〘自ラ五(四)〙
① 横さまに通り過ぎる。横断する。
万葉(8C後)四・六八八「青山を横殺(よこぎる)雲のいちしろく吾れと笑(ゑ)まして人に知らゆな」
※薪小屋(1962)〈庄野潤三〉一「その外れを横切って走っている国道にも、まるで人影が見えなかった」
※評判記・寝物語(1656)四「せっちんの口に、かぶろをばんに置、主はかの男かたへゆき、よこぎらせ侍り」
③ 考え・思い、また表情などが、ふっとあらわれてすぐに消える。
※こゝろ(1914)〈夏目漱石〉上「時として変な曇りが其顔を横切(ヨコギ)る事があった」
[2] 〘自ラ下二〙
① 横に切れて行く。横にさえぎられる。
※頼政集(1178‐80頃)上「澄みのぼる月の光によこぎれてわたるあきさの音の寒けさ」
横道に曲がる。また、横道にそれる。

よこ‐ぎり【横切】

〘名〙 (「よこきり」とも)
① よこぎること。横に通ること。
太平記(14C後)二「志賀閻魔堂の横を横切(ヨコキリ)に、今路へ懸て引帰す」
権記‐寛弘五年(1008)正月一四日「王大夫座在横切
③ 横に切ること。
耳底記(1602)二「とりのこをよこぎりにしたる折本なり」
④ 客に出ている遊女が密かに他の客や情夫のところへ行くこと。横を切ること。
浄瑠璃・いろは歌義臣鍪(1764)八「請切、横切(ヨコキリ)、一つ買ひ」

よこ‐ぎれ【横切】

〘名〙 (「よこきれ」とも)
① 横に切れめのはいっていること。
※古活字本荘子抄(1620頃)四「横目の民とは目のよこきれと云心也。人は目が横にきるるなり。只人と云んため也」
② 横に切れること。横断。
浮世草子・好色盛衰記(1688)四「生玉の並松筋より横(ヨコ)きれに」
③ 横道に曲がって行くこと。脇道にはいること。
※浮世草子・好色二代男(1684)三「九軒の横(ヨコ)きれして、西かわの座頭の許へよられける程に」
④ (「横布」とも) 織目が横になるように裁ってある布。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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