権記(読み)ゴンキ

デジタル大辞泉 「権記」の意味・読み・例文・類語

ごんき【権記】

平安中期、権大納言藤原行成日記。正暦2年(991)から寛弘8年(1011)までの分が残っているが、ほか若干逸文がある。藤原道長時代史料として重要。行成卿記。

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精選版 日本国語大辞典 「権記」の意味・読み・例文・類語

ごんき【権記】

  1. 平安中期、権大納言藤原行成の日記。主に正暦二年(九九一)から寛弘八年(一〇一一)に至る日記で、ほかに逸文が若干ある。記主行成は朝廷の故実に通じ、また書道にすぐれた。藤原道長時代の史料として重要。行成卿記。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「権記」の意味・わかりやすい解説

権記
ごんき

藤原行成(ゆきなり)の日記。『行成卿記(ゆきなりきょうき)』ともいい、権大納言(ごんのだいなごん)であったことから、『権記』ともいう。991~1011年(正暦2~寛弘8)の20年間の日記であるが、その間、欠けている部分は996年(長徳2)である。行成は弁官や蔵人頭(くろうどのとう)を勤め、宮廷での政治家としての生活を細かに記している。儀式にも大いに詳しく、「別記に有り」などの記述もみえることから、儀式についての別記も存したかとも思われる。行成は一条(いちじょう)天皇に信任があり、また、藤原道長(みちなが)とたいへん親密であったことなどが事細かに書かれており、摂関政治史をみるうえにだいじな日記である。また、行成は筆跡が優れていたので依頼されて多くの書物を筆写したことなどもみられ、平安朝の朝儀や学芸、風俗を知る好史料である。写本としては宮内庁書陵部鎌倉時代書写の伏見宮(ふしみのみや)本22巻が最古のものである。『増補史料大成』『史料纂集(さんしゅう)』に所収

山中 裕]

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改訂新版 世界大百科事典 「権記」の意味・わかりやすい解説

権記 (ごんき)

藤原行成の日記。書名は行成の極官,権大納言にもとづく。《権大納言記》《行成卿記》《按察私記》ともいう。991年(正暦2)より1011年(寛弘8)に至る間(ただし996年欠)の日次記のほかに若干の逸文を存する。《小右記》《御堂関白記》と相補って平安中期公家社会の実相を知ることができる。宮内庁書陵部に伏見宮家旧蔵の鎌倉時代の古写本22巻を存する。《増補史料大成》《史料纂集》所収。
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百科事典マイペディア 「権記」の意味・わかりやすい解説

権記【ごんき】

公家の藤原行成(ゆきなり)の日記。《権大納言記(ごんのだいなごんき)》《行成卿記(ゆきなりきょうき)》などともいう。書名は行成の極官(ごっかん)である権大納言にちなむ。現存する伝本は991年から1011年までのもので,若干の逸文(いつぶん)がある。平安中期の政治や社会の動き,宮廷内の様子などを知るうえで貴重。
→関連項目本朝世紀

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「権記」の意味・わかりやすい解説

権記
ごんき

平安時代中期,藤原行成の日記。正暦2 (991) 年から寛弘8 (1011) 年までが現存。時代は藤原道長の全盛期にあたっており,同時代の藤原実資の日記『小右記』とともに,貴重な史料である。記事はおもに朝廷の儀式,行事などに詳しい。『史料大成』所収。

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旺文社日本史事典 三訂版 「権記」の解説

権記
ごんき

平安中期,権大納言藤原行成の日記
50巻。うち22巻(991〜1011年のぶん)が現存。『小右記 (しようゆうき) 』とともに,藤原道長時代の政治,朝廷の様子,有職故実 (ゆうそくこじつ) を知る重要史料。

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世界大百科事典(旧版)内の権記の言及

【藤原行成】より

…仏教信仰も深く,保光より伝領した桃園第を寺とした(世尊寺)。日記《権記(ごんき)》はこの時代の重要な史料の一つ。27年,道長と同日に没した。…

※「権記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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