談林十百韻(読み)だんりんとっぴゃくいん

精選版 日本国語大辞典 「談林十百韻」の意味・読み・例文・類語

だんりんとっぴゃくいん‥とっピャクヰン【談林十百韻・談林十百韵】

  1. 江戸前期の俳諧撰集。二冊。田代松意編。延宝三年(一六七五成立・刊。江戸の談林派が西山宗因の江戸下りを期して催した百韻興行を基にした九吟百韻十巻から成る。宗因から送られた「されば爰に談林の木あり梅の花」の発句で始まり、雪柴・在色・一鉄・正友・志斗・一朝・松臼・卜尺・松意の九人が付け合う。本書刊行は大きな反響を呼び、宗因一派が談林派と呼ばれる契機となった。

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改訂新版 世界大百科事典 「談林十百韻」の意味・わかりやすい解説

談林十百韵 (だんりんとっぴゃくいん)

俳諧の連句集。正しくは《江戸俳諧談林十百歆》。松意(しようい)編。1675年(延宝3)刊。江戸談林(檀林)を名のる雪柴(せつさい)・在色(さいしき)・一鉄・正友・志計・一朝・松臼(しようきゆう)・卜尺(ぼくせき)・松意の9人が,宗因の〈されば爰(ここ)に談林の木あり梅の花〉を巻頭に興行した百韻10巻。宗因の発句と,〈飛躰(とびてい)〉と呼ばれる奇矯俳風によって,一躍〈西は長崎,東は仙台〉(在色《暁眠起》)まで鳴り響いたという。
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世界大百科事典(旧版)内の談林十百韻の言及

【談林俳諧】より


[最盛期]
 宗因の《蚊柱(かばしら)百句》(1674)をめぐり,論難書《しぶうちわ》,翌1675年惟中(いちゆう)の《しぶ団(うちわ)返答》が出され,新旧の対立がにわかに激化した。同年京都から高政(たかまさ)の《絵合(えあわせ)》,大坂から宗因加点の《大坂独吟集》,江戸から松意らの《談林十百韵(とつぴやくいん)》が出され,三都に浸透した談林の勢力をしのばせた。惟中が《俳諧蒙求(もうぎゆう)》を著し,老荘思想を背景に俳諧寓言(ぐうげん)説を展開して新興談林俳諧に理論的裏付けを与え,無心所着(むしんしよぢやく)の効用を力説したのもこの年である。…

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