檜尾寺(読み)ひのおじ

日本歴史地名大系 「檜尾寺」の解説

檜尾寺
ひのおじ

[現在地名]甲南町池田

檜尾神社の東隣にあり、神仏習合時の名残をみせる。補陀落山文殊もんじゆ院と号し、天台宗。本尊千手観音。仁寿三年(八五三)円仁が文徳天皇の勅を奉じて建立、一時は二八院六坊を有したという(甲賀郡志)。檜尾神社の別当寺として地元の厚い信仰を受け、応永七年(一四〇〇)三月一五日の実富私領屋敷売券(小山文書)に当寺への屋敷売渡しがみえ、享徳二年(一四五三)一〇月一二日の沙弥昌安畠地寄進状(同文書)に四脚門の修理のことが記される。永禄(一五五八―七〇)以後、数回の兵火にあったという(甲賀郡志)。観音堂に安置される鎌倉時代作の本尊木造千手観音立像(国指定重要文化財)は、体躯翻波などに古様を残した復古調で、檜の寄木造。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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