正準変換(読み)せいじゅんへんかん(その他表記)canonical transformation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「正準変換」の意味・わかりやすい解説

正準変換
せいじゅんへんかん
canonical transformation

(1) 解析力学における正準変数 qipi(i=1,2,…,n) の変換で,正準方程式の形を変えないもの。力学系の運動は正準変換が連続的に行なわれることであるとみなせるので,正準変換を考察することによって力学の形式的構造が解明され,また適当な正準変換をすることによって実際の問題の解法が容易になる場合がある。
(2) 量子力学では,状態ベクトルヒルベルト空間ユニタリ行列で与えられる座標変換で,交換関係を不変に保つ変換をいう。正準変換によって,物理量を表わすエルミート行列対角行列に変換され,その固有値が求められる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の正準変換の言及

【解析力学】より

…自然現象には不可逆過程と呼ばれる(2)に含まれない型の運動も重要であるが,これはたくさんの自由度の(2)型の力学系から巨視変数以外の不必要な自由度の変数を消去することにより,運動が相空間の部分空間に制限されたものと考えられる。
[正準変換]
 (2)の運動を変数の変換qiqi(Q,P),pipi(Q,P)によって新変数(Qi,Pi)i=1,……,fで記述する場合,方程式の形が同じならば運動法則の記述はこの変換によって不変であり,系の力学的性質の理解は統一されたものになる。厳密な定式化では微分形式と書く。(pidqiPidQi)がスカラー関数W(q,Qt)の全微分になるとき,によって新正準変数(Q,P)が定義され,新ハミルトン関数H(P,Q)を用いて(2)と同じ正準方程式となる。…

※「正準変換」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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