殆し(読み)ホトホトシ

デジタル大辞泉 「殆し」の意味・読み・例文・類語

ほとほと・し【×殆し/幾し】

[形シク]
ほとんどそうなるところである。
「漕げども漕げどもしり退しぞきに退きて―・しく打ちはめつべし」〈土佐
もう少しで死ぬところである。
「小さくて病して―・しかりけるに」〈宇津保藤原の君〉
危険が迫っている。
乱り心地いと堪へがたうて、まかでむ空も―・しうこそ侍りぬべけれ」〈藤裏葉

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精選版 日本国語大辞典 「殆し」の意味・読み・例文・類語

ほとほと‐し【殆・幾】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙 ( 「ほとおとし」の時代も )
  2. ほとんどそうしそうである。もうすこしでそうなるところである。
    1. [初出の実例]「御幣帛(みぬさ)取り神の祝(はふり)がいはふ杉原薪(たきぎ)伐り殆之国(ほとほとシくに)手斧取らえぬ」(出典万葉集(8C後)七・一四〇三)
  3. すんでのところで死にそうである。生命があぶない。危篤である。
    1. [初出の実例]「久しうここちわづらひてほとほとしくなん有りつる」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)雑三・一二四八・詞書)
  4. 危険が非常にさし迫っている。きわめてあやうい。無事でいられそうにない。
    1. [初出の実例]「宮造る飛騨のたくみのてをのおとほとほとしかるめをもみしかな〈藤原国用〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)雑恋・一二二六)

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