化学辞典 第2版 「殻構造模型」の解説
殻構造模型
カクコウゾウモケイ
shell model, shell structure model
原子内電子の配置と同じように,陽子,中性子も殻構造をもつとする原子核構造のモデルの一つで,液滴模型に対するもの.1949年にM.G. MayerとO. Haxel,J.H.D. Jensen,H.E. Suessが独立に提出した.このモデルによると,陽子と中性子はそれぞれ一粒子軌道関数で表され,エネルギー準位の同じ軌道に陽子,中性子はパウリの原理に従って配置されて殻を形成する.原子の場合の原子核のクーロン場による中心力のはたらきをするのは,ほかの核子の平均ポテンシャルである.強いスピン-軌道相互作用を導入して,原子内電子配置と異なる収容数の殻を得て,魔法の数の原子核の安定性を説明する.閉殻に近い核の性質,たとえば核磁気モーメントや核異性体転移の崩壊定数などを,スピン対から残った最後の核子の全角運動量で説明する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報