毛付・毛附(読み)けづけ

精選版 日本国語大辞典 「毛付・毛附」の意味・読み・例文・類語

け‐づけ【毛付・毛附】

〘名〙
① 馬の毛色
※永久百首(1116)秋「望月の駒の毛づけをあふ坂の杉間の影にあはせてぞ見る〈源俊頼〉」
② 馬や犬などの毛色を書き留めること。また、その文書、または役目。
※九暦‐九条殿記・五月節・天慶七年(944)五月五日「此間外記以諸家馬毛付奏大臣
出陣の着到状に甲冑(かっちゅう)の威毛(おどしげ)の名称を記入すること。
④ 軍陣で、それぞれが主な敵を求め、その鎧(よろい)の毛色に注目して、討ちとることを競うこと。
※甲陽軍鑑(17C初)品五〇「治部は金の制札、市之允は金の挑燈と毛づけを仕り、うち申べく候と申候て」
羅紗(ラシャ)、羅背板(ラセイタ)など、毛織物染色
※洒落本・古今三通伝(1782)「衣類の毛(ケ)づけも時々にちがひ、浅黄かたびら黒小袖の正風体では間にあはず」
田畑に稲、麦などの主穀を植えること。〔下茜部村五カ年免状并小物成差出帳(岐阜市)‐宝永四年(1707)〕
⑦ 年貢取米(税率)を定めるため、田畑作毛の出来具合を定めること。
※高家村源兵衛所蔵文書‐慶長九年(1604)二月二〇日・若彌九証文写「高家村久荒開発之事、先日申越候処に証文無者開発申間敷由、尤三ケ年之内作取たるべく候。以来も又本毛付なみには有間敷候間」
⑧ 馬を売買する市。馬市
夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第一部「月の末には毎年福島の方に立つ毛附(ケヅ)け(馬市)も近づき」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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