馬市(読み)ばし(英語表記)ma-shi; ma-shih

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「馬市」の解説

馬市
ばし
ma-shi; ma-shih

中国,明代に主としての買入れのため北方民族との間に設けられた定期。官市と私市とがあり,初めは官市を主としたが,のち私市が盛んとなり,北方産の馬,毛皮人参などと中国産の,米,塩,銅鉄器などが取引された。明では永楽4 (1406) 年に遼東の開原,広寧に馬市を設け,馬価を公定して絹布で支払った。正統4 (39) 年には私市が公認され,開原南関馬市が起り,また建州女直のために撫順馬市が開かれた。モンゴル民族に対する馬市は,正統年間 (36~49) オイラート (瓦剌)部のために,嘉靖 30 (1551) 年タタール部のために大同,宣などで開かれたが暫定的で中絶し,隆慶5 (71) 年アルタン (俺答)との間に和議が成立してから再開され,明末に及んだ。

馬市
うまいち

馬を売買するために開かれる市。鎌倉時代以降,軍馬運輸農耕などに果す馬の役割が増大し,特に戦国時代に入ると軍馬の需要が高まり,諸大名はこぞって馬市を開催した。室町時代の京都五条室町,江戸時代の江戸馬喰町の市が有名。

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精選版 日本国語大辞典「馬市」の解説

うま‐いち【馬市】

〘名〙 軍馬や儀式・役畜用の馬を一定期間売買する市。主として産馬地で行なわれたが、江戸時代には都市でも開催され、馬喰(ばくろう)町、馬町などの地名をとどめている。馬の市。馬市場。《季・秋》
※大乗院寺社雑事記‐文明一七年(1485)七月五日「元興寺南大門前馬市立初之、古市之所行也」
※おもひ草(1903)〈佐佐木信綱〉「馬市によき馬かひてかへるさの野路おもしろき鈴虫の声」

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デジタル大辞泉「馬市」の解説

うま‐いち【馬市】

馬を売買する市。

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世界大百科事典 第2版「馬市」の解説

ばし【馬市 mǎ shì】

中国が北方民族から馬などを買うために開いた定期市。明代に長城付近で開いたものが重要である。まず1405年(永楽3)ウリヤンハイや海西女直のために遼東の開原に開き,のち建州女直のため撫順(ぶじゆん)に開き,明末に及んだ。モンゴル(韃靼)のためには1551年(嘉靖30)に一時開いたが,本格的には71年(隆慶5)アルタン・ハーンとの和議成立後,大同,宣府などで開き,明末まで続いた。オイラート(瓦剌)との馬市は1438年(正統3)から10年間だけ大同で開いた。

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普及版 字通「馬市」の解説

【馬市】ばし

馬の市。

字通「馬」の項目を見る

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世界大百科事典内の馬市の言及

【市】より

…この米場は,江戸期大坂の堂島米市場の先駆をなすものである。京都にも馬市があったが,戦国時代には,各地に,馬市,牛市が立てられた。美濃国大矢田市も,美濃紙特産地の市として,紙が取引の主要商品であり,その紙を買い付けて京都へ運ぶ専門の商人,近江湖東の枝村商人が存在したのである。…

【ウマ(馬)】より

…貴人の乗用という観念が強かったため庶民,農民は通常乗馬せず,農耕にも一部地方を除いて使役されず,わずかに厩肥が肥料として使用されたにとどまる。 馬の売買はおそらく鎌倉時代から盛んになったと思われ,室町時代には奈良や京に馬市が立ち,また諸所の社寺の門前市でも馬の取引が行われた。近世には盛岡,秋田,仙台,岩沼,白河など産馬地の奥羽地方や江戸馬喰町(のち浅草),信州木曾福島などに大きな馬市があった。…

※「馬市」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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