① 正しい風体。正しい姿。特に、和歌において伝統的で正雅な歌体をいう。連歌でもこれを受けつぎ、和歌的本意を踏襲した規範的な風体をいう。正風。
[初出の実例]「正風躰事 受面授口決了」(出典:実隆公記‐延徳二年(1490)五月一九日)
② 俳諧で、純正で中庸を得た風体。時代や各派によってその理解や主張に違いはあるが、おおむね自派の風体の正統性を主張するのに用いた。俳諧史的には、芭蕉らの俳諧に用いる傾向が強く、安永・天明(一七七二‐八九)以降には、特に芭蕉を祖とする俳諧の一派をいい、「蕉風」と同義に用いられた。正風。→「蕉風」の語誌。