日本大百科全書(ニッポニカ) 「水熱反応」の意味・わかりやすい解説
水熱反応
すいねつはんのう
hydrothermal reaction
高温・高圧の水が共存する条件で進行する化学反応。地学では熱水作用ということが多い。常圧下では到達できない溶解度の増加、反応速度の増大、化学平衡の移動などが可能になるため、さまざまな鉱物の生成あるいは人工合成が行われる。天然には、熱水作用によって生成した熱水鉱床が知られ、金、銀、銅、鉛、亜鉛、水銀、モリブデン、タングステンなどの重金属鉱床として重要なものが多い。
人工合成は主としてシリカ‐アルミナ系の鉱物に適用され、水の臨界温度(374.2℃)前後、数百から1000気圧程度の条件範囲で、オートクレーブあるいは特別に設計された高圧反応容器を用い、水晶、ルビー、エメラルド、サファイアなどの生産に利用される。
地質学的条件を再現する研究実験には、さらに広い温度、圧力の条件が対象となり、800℃、5000気圧程度までに範囲が拡大されている。
[岩本振武]