デジタル大辞泉 「水鳥の」の意味・読み・例文・類語 みずとり‐の〔みづとり‐〕【水鳥の】 [枕]1 水鳥の一種である「鴨」および同音の「賀茂」にかかる。「―鴨の羽色の春山の」〈万・一四五一〉2 鴨の羽が青いところから、「青い」にかかる。「―青葉の山の色づく見れば」〈万・一五四三〉3 水鳥の動き・性状を表す「立つ」「浮き」などにかかる。「―発たちの急ぎに」〈万・四三三七〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「水鳥の」の意味・読み・例文・類語 みずとり‐のみづとり‥【水鳥の】 枕① 水鳥の代表的なものとしての「鴨(かも)」や、「鴨」と同音の地名「賀茂」にかかる。[初出の実例]「水鳥之(みづとりの)鴨の羽色の春山のおほつかなくも思ほゆるかも」(出典:万葉集(8C後)八・一四五一)② 鴨の羽の色が青いところから、「青羽」と同音の「青葉」にかかる。[初出の実例]「秋の露は移しにありけり水鳥乃(みづとりノ)青葉の山の色づく見れば」(出典:万葉集(8C後)八・一五四三)③ 鴨の羽交(はがい)の意で、「羽交」と同音を含む地名「羽易(はがい)の山」にかかる。[初出の実例]「払ひかねうきねにたへぬ水鳥のはかひの山も霜や置くらん〈藤原家良〉」(出典:続後撰和歌集(1251)冬・四八六)④ 水鳥の飛び立つ意で、「立つ」にかかる。[初出の実例]「水都等利能(みヅトリノ)立たむ装(よそ)ひに妹(いも)のらに物云はず来にて思ひかねつも」(出典:万葉集(8C後)一四・三五二八)⑤ 水鳥が水の上に浮いたままで寝たり、年を経たりするところから、「浮き寝」と同音の「憂き寝」に、また、「憂きて経(ふ)」にかかる。[初出の実例]「浪の上に跡やは見ゆる水鳥のうきて経ぬらん年はかすかは〈よみ人しらず〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)恋四・八三七)⑥ 水鳥の泳いでいったあとの波がすぐ消えるところから、「はかなき跡」にかかる。[初出の実例]「水鳥のはかなきあとに年を経てかよふ許のえにこそ有けれ〈よみ人しらず〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)恋四・八三六) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例