同音（読み）ドウオン

デジタル大辞泉

どう‐おん【同音】

１ 同じ発音。同じ読み。
２ 同じ高さの音、声。
３ 声をそろえて言うこと。同時に言うこと。「異口いく同音」
「私たちは我知らず、あっと―に叫びました」〈芥川・地獄変〉
４ 能で、地謡方じうたいかたが斉唱すること。また、その部分。地謡。同吟どうぎん。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

どう‐おん【同音】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 同じ発音の音声。同一の発音。
   1. [初出の実例]「頭尾者、第一句尾字与_二二句尾字_一不_レ得_二同音_一」(出典：歌経標式（772）)
   2. 「斉世家には作甄、々は平声、真先の二韵で用るぞ。此では鄄と同音であるほどに去声であらうぞ」(出典：史記抄（1477）四)
3. ② 字を読む際の同じ音訓。同一の字音。
   1. [初出の実例]「日本文の弊害は同音の字多きと」(出典：筆まかせ（1884‐92）〈正岡子規〉一)
4. ③ 楽器などの同じ調子の音。また、同じ高さの音を同時に鳴らすこと。ユニゾン。
   1. [初出の実例]「都へ出して三百人拍子を打て同音(ドウオン)に歌けり」(出典：源平盛衰記（１４Ｃ前）一)
   2. [その他の文献]〔詩経‐小雅・鼓鐘〕
5. ④ 二人以上の人が、同時に同一の音声を発すること。声をそろえていうこと。
   1. [初出の実例]「思_レ古見_レ今。同音随喜」(出典：本朝文粋（1060頃）一四・寂心上人四十九日修諷誦文)
   2. 「同音(ヲン)にどっと笑ければ」(出典：太平記（１４Ｃ後）七)
6. ⑤ 能楽の地謡方の合唱。略して同と書き、その一曲の最初にあるのを初同、二番目を二の同、三番目を三の同という。同吟。〔申楽談儀（1430）〕

どう‐いん【同音】

1. 〘 名詞 〙 ( 「いん」は「音」の漢音 ) ＝どうおん（同音）

出典　精選版 日本国語大辞典

普及版 字通

【同音】どうおん

同じ音調にする。〔詩、小雅、鼓鍾〕瑟(しつ)を鼓し琴を鼓し　笙磬(しやうけい)を同(とも)にす

字通「同」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」

世界大百科事典（旧版）内の同音の言及

【地謡】より

…1曲中で最初の地謡部分を〈初同〉という。古くは〈地〉と〈同〉とは別で，〈地〉の部分は地謡が謡い，〈同音〉の部分はシテやワキも含めて全員が合唱することを意味したが，ワキ方の独立など各役の分担制が確立するのに伴い地謡だけが謡うようになったらしい。【松本 雍】。…

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出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」